社会人留学前に必要な手続きまとめ【税金手続きや保険などについて解説】

社会人になり会社を退職して海外留学に行ったり、フリーランスの方が海外留学に行く場合に気になる日本での税金や保険の手続き。

今回は実際に海外留学に行く前にどういった手続きが必要なのかを解説します。

社会人(会社員・フリーランス)が留学前に必要な税金・保険手続き

まず社会人の方が海外留学するとなると以下のような税金、保険の手続きの確認が必要です。

  1. 海外転出届
  2. 国民年金保険
  3. 国民健康保険
  4. 確定申告

留学の期間によっても必要な手続きに違いが出てきます

具体的にそれぞれの手続きについて解説していきます。

海外転出届の提出

1年以上の期間の留学になる方は非居住者となるため、住民票を抜く手続きが必要です。

住民票を抜くためには、海外転出届を提出します。

海外転出届を提出するとどうなるのか

海外転出届を提出した場合には、以下のようなメリットがあります。

  • 国民年金保険の支払いを選択できる
  • 国民健康保険を払う必要がない
  • 住民税を支払う必要がなくなる(1月1日時点で居住者でない場合)

長期の留学をしながら日本の税金関連を払い続けるのは大変なため、見落とさず確認しておきたい手続きです。

しかしその一方で住民票を抜くと以下のようなデメリットもあります。

  • 一時帰国時などに病院に行きたい場合、国民健康保険を使って治療を受けられないため10割負担となる
  • 年金受給額が減少する
  • e-taxなどを利用して海外から確定申告を行うことができない

国民年金保険は非居住者の場合も払い続けることも選択できるため、将来の受給額を考慮して払っておきたいという方はそのまま納付をすることが出来ます。

提出の流れ

海外転出届は出発日の14日前から提出することが可能です。

渡航がちょうど1年程度になるという方は届け出を出すか迷う方もいるかもしれません。

帰国が伸びる可能性があったり、帰国日が確定していないという方は判断に応じて出すのが良いでしょう。

国民年金保険について

次に国民年金保険について具体的に説明します。

今まで会社に勤めていた方は、厚生年金に加入されていた方も多いかもしれませんが会社を退職すると国民年金保険に切り替え自分で支払いをする必要性があります。

前述の通り、海外転出届を提出した場合は国民年金の支払い義務はありません。

しかし支払い期間がその分少なくなってしまうため、年金受給額も減ってしまいます。

そのため、加入を続けたいという方は任意加入し払うことも可能です。

出国前に確認しておきましょう。

国民健康保険について

こちらも会社に勤めていた方は会社の健康保険に加入していた方がほとんどかと思います。

会社を退職した場合は自身で国民健康保険に加入する必要があります。

海外転出届を出した場合は国民健康保険も払う必要はありません。

海外転出届を出さずに住民票を残したままの場合は国民健康保険の加入が継続されます。

国民健康保険に加入している場合は、仮に海外で病院にかかった場合も日本の保険診療に対応する内容であれば帰国後に日本の医療費に換算した上で7割負担してもらえます。

ただし海外の病院治療費はかなり高額になることが多く、日本の治療費より高額になることがほとんどです。国民健康保険に加入し続ける場合でもかならず海外旅行保険に加入しておきましょう。

確定申告が必要?

日本で収入があり海外留学に年度の途中で行く場合には確定申告が必要な場合があります。

例えば

  • 会社員以外にも副業などの兼業で確定申告が必要な場合
  • 会社員で途中退職のため年末調整できず、自身で還付申告が必要な方
  • フリーランスの方

などです。

年度の途中で出国し短期留学のため、その年度の原則2月16日から3月15日までに自身で確定申告ができる方は問題ありませんが、3月の確定申告締め切りまでに帰国ができず自分で確定申告が出来ない場合には、納税管理人を立てる必要があります。

出国前に書類を税務署に出すこともできますが、時期によっては控除の書類などが揃わないこともありますので状況に応じて判断してくださいね。

納税管理人とは?

納税義務者に代わり、納税に関する一切の手続き(納税通知書の受領・納税・還付通知の受領・還付金の受領など)を行う方を指します。

海外へ出国されるなどの理由により、納税が難しい場合(納税通知書の受領や納税ができなくなる場合)は、出国される前に納税管理人の申告をする必要があります。

納税管理人には親族の他、税理士、弁護士、友人などに頼むことが可能で、詳しくは各自治体に問い合わせるようにして下さい。

納税管理人を選んだ場合は活用できる控除の種類に違いがあります。

所得控除は雑損控除・寄付金控除・基礎控除だけが使用できることに注意しましょう。ただし雑損控除は国内の資産について生じた損失に限られます。

e-Taxで確定申告出来るのは居住者のみ

住民票を残したままの居住者であれば海外からもマイナンバーカードや必要な書類が手元に揃っており、申告内容を把握していれば海外からでも確定申告が可能ですが、非居住者はマイナンバーもなくなるため海外からe-Taxで確定申告することはできません。

渡航前の手続きは早めに済ませておこう

今回は社会人留学で渡航前に事前に必要な手続きについてご紹介しました。

学生の留学と異なり、事前に確認しておきたい点や届け出などがあります。

出国前になって慌てることの無いように事前に確認し、余裕を持った手続きを心がけると安心です!